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利益相反(COI)について


 臨床研究等を推進する上で、大学等の教育研究機関や学術団体と製薬企業や遊技・賭博関連企業及び啓発活動団体、その他医療機器業者等の産業界との産学連携は極めて重要であります。

 一方、産学連携活動に伴い発生する個人及び産学が取得する利益と、学術機関に所属して行う公正な教育・研究における責任とが衝突・相反する状態が不可避的に起こってきます。
このような状態を「利益相反(COI)」と呼びますが、この利益相反状態を学術団体が組織として適切に管理していくことが、産学連携活動を推進する上で必須となってきました。

 日本行為依存症医学会においても、産業界等からの資金で実施される臨床研究の公正性、透明性を確保するため、本学会と企業が連携して実施する活動や、行為依存症医学会及びその関連学会で行う発表、Addiction Journalにおける報告、についてあらかじめ利益相反状態を把握し、利益相反が疑われたときは直ちに「倫理・利益相反委員会」を開いて対処できる体制づくりに取り組みます。

COI関連リンク


臨床研究の利益相反ポリシー策定に関するガイドライン

http://www.mhlw.go.jp/shingi/2007/06/dl/s0606-3i.pdf

文部科学省 利益相反ワーキンググループ報告書:

http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu8/toushin/021102.htm

厚生労働省 厚生労働科学研究における利益相反の管理に関する指針について:

http://www.mhlw.go.jp/seisaku/2009/06/01.html
http://www.mhlw.go.jp/general/seido/kousei/i-kenkyu/index.html

厚生労働省のQ&A

「厚生労働科学研究における利益相反(Conflict of Interest:COI)の管理に関する指針」についてのQ&A
※このQ&Aについては、現状に即したものとなるよう、追加、修正を含め適宜見直しを行っていく予定です。
Q&A 転載元:http://www.mhlw.go.jp/general/seido/kousei/i-kenkyu/rieki/txt/qa.txt

Q1  「経済的な利益関係」には、無償での物品や役務の提供等も含まれますか。
A1  「経済的な利益関係」には、およそ金銭的に価値のあるものはすべて含まれます。従って、無償での物品や役務の提供等も「経済的な利益関係」に含まれます。
Q2  臨床研究の趣旨に賛同し、企業が、当該企業の製品を無償で提供する場合等も研究者の「経済的な利益関係」となりますか。
A2  研究者に提供された「経済的な利益関係」とみなすべきか、研究に対する外部資金等の提供の一種とみなすべきかは、契約内容等も含め、無償提供の状況により判断する必要があります。従って、所属機関のCOI委員会に、契約内容や他の経済的な利益関係も含めて、当該企業との関わりについて正確な報告を行い、COI委員会の判断に基づいて、適切な管理措置を講じる必要があります。
 なお、研究者に提供された経済的な利益関係とみなされる場合、及び、当該研究に対する外部資金等の提供の一種とみなされる場合のいずれの場合においても、ヘルシンキ宣言や臨床研究の倫理に関する指針に基づき、被験者に資金源等を説明する際には、当該企業からの協力を得ていることを説明する必要があります。
Q3  所属機関において、文部科学省「21世紀型産学官連携手法の構築に係るモデルプログラム」において示された「臨床研究の利益相反ポリシー策定に関するガイドライン」に準拠した対応を講じている場合、新たな対応が必要になりますか。
A3  基本的に、所属機関において、「臨床研究の利益相反ポリシー策定に関するガイドライン」に準拠した対応が適切になされていれば、臨床研究に限らず、この指針にも対応しているものと考えられます。
Q4  一般公募型以外の研究(指定型、戦略型等)に関してもこの指針が適用されますか。
A4  この指針は厚生労働科学研究全般に適用されるもので、指定型の研究についても平成20年度からCOIの管理の状況の確認等を実施することを予定しています。
 なお、平成20年度及び平成21年度において、所属機関の準備が整っていない場合には、指定型の研究については、研究者から必要な情報の提供を得て、厚生労働省においてCOIの管理について検討を行う予定です。
Q5  臨床研究以外の厚生労働科学研究(例えば、社会科学系の研究課題)であれば、COI委員会への経済的な利益関係の報告、審査の申し出は不要ですか。
A5  厚生労働科学研究であれば、臨床研究に限らず、所属機関のCOI委員会に審査を申し出る等のCOIの管理が必要です。
Q6  厚生労働科学研究費補助金の交付申請書提出時までに、所属機関のCOI委員会等にCOIの審査を申し出ることとなっていますが、COI委員会の審査の結果は、申請書に添付しないといけないのですか、あるいは、後日報告する必要がありますか。
A6  COIの管理は、所属機関において適切に実施されるべきであり、また、COI委員会の審査については、できるだけ早期に結論を出していただく必要がありますが、交付申請書提出時に提出していただく必要はありません。なお、交付申請書提出時に、COI委員会等にCOIの審査の申し出がなされているか等について確認すること、及び事業実績報告書においてCOI管理の状況等について報告を求めることを予定しています。
 また、厚生労働省又は配分機関は、必要があると認める時にはCOIについて調査を行うことが出来ますが、その際には、COI委員会の審査の結果を提供していただく必要があります。
Q7 「経済的な利益関係」は、何年前までのものが対象になりますか。COIの関係書類を5年保存とありますが、5年以上前の資金提供等については管理の対象外と考えてよいのでしょうか。
A7  厚生労働科学研究の期間中の「経済的な利益関係」については、各年度毎に所属機関のCOI委員会に報告いただくことを前提としております。指針では、この「経済的な利益関係」の報告の基準については、各機関の実情を踏まえて設定して差し支えないこととなっており、所属機関のCOI委員会の判断により、当該年度のみならず、過去数年間の経済的な利益関係について報告を求める等の基準を設定することも可能です。
 また、COIの関係書類は5年間保存する旨規定していますが、これは、COIの管理後の保存期間を意味しています。
 COIの管理は、個々の事例毎に、関連する事情を十分に検討した上で行うことが適当と考えられ、色々な条件が重なった場合には、報告の基準に該当しなくても、外部から弊害が生じているのではないかとの指摘がなされる可能性があることに十分留意すべきです。このため、例えば、5年以上前にある企業から多額の寄付を受け、当該企業の利害と密接な関係のある厚生労働科学研究を行うような場合には、COI委員会に積極的に相談する等、厚生労働科学研究の客観性、公平性を損なうという印象を社会に与えることがないよう十分留意する必要があります。
Q8  2年前に多額の寄付を行った企業との関係についてはCOI委員会に報告しないでよいですか。
A8  各機関においてCOI委員会への報告の基準を定め、研究者はそれに従う必要があり、期間等についても各機関において定めることになります。
 また、各機関において定めた基準に抵触しない場合であっても、第三者が研究の客観性、公平性を損なうという印象を持つことが懸念されるような場合には、所属機関のCOI委員会に対してCOIの管理措置の検討を求める等、適切な管理を行う必要があります。
Q9  経済的な利益関係が「各所属機関が定めた基準に抵触しない場合であっても、外部から弊害が生じているかのごとく見られる可能性が懸念される場合」とは、どのような場合ですか。
A9  企業との経済的な利益関係が、機関が定めた基準に抵触しない場合であっても、総合的に見て外部から弊害が生じているかのごとく見られる可能性が懸念される場合には、所属機関のCOI委員会に対してCOIの管理措置の検討を求める等、適切な管理を行う必要があります。例えば、医薬品に関係する研究を実施するに当たり、当該医薬品を製造する企業から、客員研究員が、研究者が所属している研究室に来ている場合等が該当するものと考えられます。
Q10  II2に「公的機関から支給される謝金等は、『経済的な利益関係』に含まれない。」との記載がありますが、研究費交付等研究振興を目的とする公益法人については、その公益性から、公的機関と同等の扱いができると考えられるので、これら法人から交付される研究助成金等は、ここでいう謝金等に該当するとして「経済的な利益関係」に含まれないと理解してよいですか。
 また、独立行政法人(日本学術振興会、JSTなど)も、公的機関と理解してよいですか。
A10  公的機関や公益法人から支給される研究助成金や委託費は謝金等には該当しません(「経済的な利益関係」に含まれます)。「公的機関」には、国、地方自治体及び独立行政法人が該当します。例えば、独立行政法人において講演を行った際の謝金は「経済的な利益関係」に該当しませんが、独立行政法人から支給される研究費助成金や委託費は「経済的な利益関係」に該当します。
(それらについては、産学連携活動にかかる受入れ額等に該当する場合も考えられるため、COI委員会に積極的に相談する等の対応を行うべきです。)
Q11  学会から支給された講演の謝金は、公的機関から支給された謝金に該当し、経済的な利益関係に含まれないと理解してよいですか。
A11  学会は公的機関に該当しないため、学会から支給された講演の謝金は、「経済的な利益関係」に含まれます。
 また、学会から支給される謝金であっても、特定企業がスポンサーであるような場合には当該特定企業からの経済的な利益関係に含めることが適当な場合もあり得ます。
Q12  各機関のCOI委員会の設置について、厚生労働省は確認しないのですか。事前に登録等させないのですか。
A12  交付申請書提出時に所属機関のCOI委員会にCOIの審査の申し出を行っていること等を確認し、事業実績報告書においてCOI管理の状況等について報告を求めること、及び、必要に応じ、各機関のCOIの管理の方法等について調査を行うことを予定していますが、現時点では、事前登録等を求める予定はありません。
Q13  COI委員会に報告すべき経済的な利益関係の金額の例示は、何を参考にしたのですか。
A13  文部科学省「21世紀型産学官連携手法の構築に係るモデルプログラム」において示された「臨床研究の利益相反ポリシー策定に関するガイドライン」の例示を参考にしており、その例示と平仄を合わせています。
Q14  公益法人からの受託研究費については、官民共同研究といっても、一企業から一研究所への受託と同列に論じるのは必ずしも適当でなく、企業からの寄付金等には含まれないと理解してよいですか。
A14  企業からの寄付金ではありませんが、産学連携活動にかかる受け入れ額等には該当します。公益法人からの研究費についても、その性質等を踏まえた上で、COIの管理を適切に実施すべきです。
Q15  財団からの流動研究員で、財源が国からの支出である場合については、本指針の対象外と理解してよいですか。
A15  財源が国からの支出であったとしても、他の財団からの補助金等と同様、本指針の対象となります。
Q16  研究機関の長が、研究者として厚生労働科学研究費補助金を受ける場合には、どのようにすべきですか。
A16  所属機関の規程として、COIの管理に関する「委任」規定を設けて、当該機関の長が研究者として厚生労働科学研究を実施する場合のCOIの管理に関する職務の遂行を他の者に委任する等の対応を行う必要があります。
Q17  Vに「厚生労働省又は配分機関は、…所属機関に対する調査を行うことができる」との記載がありますが、調査を拒否した場合には、どうなりますか。
A17  平成20年度の厚生労働科学研究費補助金の公募要項では、「研究計画策定に当たっての研究倫理に関する留意点について」で、各府省が定める倫理指針等の遵守を求め、それらの遵守状況について調査を行うことがあることについて予め了解するよう記載しております。
 また、COIに関して検討委員会で審議中であり、その取扱いについては追って公表する旨も記載しています。なお、公募要項に違反して研究事業を実施した場合は、採択の取消し又は補助金の交付決定取消し、返還等の処分を行うことがあることも明記しており、正当な理由なく、調査を拒否した場合には、これらの処分を行う可能性があります。
Q18  Vに「厚生労働省又は配分機関は、…所属機関に対する調査を行うことができる」との記載がありますが、配分機関から交付を受けた場合には厚生労働省が調査を行うことはないのですか。
A18  配分機関のみならず、厚生労働省の職員も調査に参加することがあり得ます。
Q19  研究者が受領した金額の算出に当たっては、組織・部門の長として(あて職的に)受領した金額を含めずに、研究者個人としての実質的な受取金額としてよろしいですか。
A19  基本的に、研究者が受領したものはすべて合算すべきですが、当該研究者に直接関係ないことが明確なものがある場合には、所属機関において一定のルールを定めて、それらを別にして算出しても差し支えありません。
 なお、受領した名義人ではないが、実質的な受益者となるような場合には、逆に合算すべき場合もあり得ると考えられ、疑義のある場合には、所属機関のCOI委員会等において検討した上で、その取扱いを決めるべきです。
Q20  研究分担者が所属する機関にCOI委員会がない場合には、どのようにすればよいですか。
A20  研究分担者においてもCOIの適切な管理が必要です。研究分担者が所属する機関が小規模であり、COI委員会を設置できない場合には、研究代表者の機関等に研究分担者のCOIの管理についての審査及び検討を依頼してください。
Q21  所属機関の倫理審査委員会等にCOI委員会を兼務させることができますか。
A21  研究機関の長は、倫理審査委員会等の当該機関に既に設置されている委員会にCOI委員会を兼務させることができます。またCOI委員会の下に小委員会等を設置し、そこにCOIに係る審査及び検討を行わせることもできます。
Q22  同じ大学の他学部の教授をCOI委員会の外部委員とすることは可能ですか。
A22  例えば同一法人内の組織又は所属機関の長(COI委員会を設置する者)が共通する組織等に所属する者は、「外部の者」とは見なせないと考えられます。また、社会通念上、外部と認識されないような様態の機関(例えば、同一施設内に間借りして、当該所属機関と密接な関係のある機関)に所属する者を外部委員に任命することも避けるべきです。
Q23  研究者分担が不適切なCOIの管理を行った場合、研究代表者に対しても資金提供の打ち切り等の措置が講じられることになるのですか。
A23  研究分担者のCOIの管理が不適切であった場合でも、そのことについて研究代表者に責任がないと認められる場合には、基本的には、研究代表者への資金提供の打ち切り等の措置を講じることになる可能性は高くないと考えられますが、個々の事例毎に、研究代表者の関与の状況、研究全体のCOIの管理の状況等を確認した上で判断することになります。
Q24  COIの管理が適切になされておらず、資金提供の打ち切り等の措置が講じられる場合は、当該所属機関全体がその措置の対象となるのですか。
A24  資金提供の打ち切り等の措置は、個々の研究について調査した上で判断するものです。しかしながら、所属機関におけるCOIの管理に問題があると考えられた場合には、当該所属機関において実施されたその他の研究についても個別に確認することがあり得ます。

日本製薬工業協会の「企業活動と医療機関等の関係の透明性ガイドライン」

「同協会ホーム」のページ(http://www.jpma.or.jp/)から、「製薬協について」のページ→「自主基準」のページをたどってご覧ください